信州大学医学部山岳部のブログ

魚野川本流沢登り

time 2019/09/23

魚野川本流沢登り

1年の古矢です。先輩の梶さんとともに沢登りに行ってきました。今回が初めての沢登りということもあり、色々と大変ではありましたが、終わってみれば思い出に残るとても楽しい山行になりました。

☆エリア:志賀高原・中津川水系魚野川本流

☆日程:2019年9月16日(月)~9月18日(水)

☆メンバー:梶原、古矢(文責)

☆コース

1日目:切明温泉→渋沢ダム→千沢出合→高沢出合→黒沢出合

2日目:黒沢出合→カギトリセン→イワスゴセン→スリバチセン→ヘリトリセン→燕

セン→庄九郎大滝→2日目幕営地点

3日目:2日目幕営地点→南ノ沢出合→ヤブ漕ぎ開始→稜線上→高天ヶ原(下山)

※デジカメを滝つぼに落としてしまったため、初日分の写真は消えてしまいました(T_T)

☆ ☆ ☆

今回の山行は、常念の開所パーティの時に梶さんから誘われたものだった。その時は上ノ廊下に行こうとしていたけど、レベルが高くて断念。(上ノ廊下にはいつか挑戦してみます!)クライミング要素が少なく、秘境感があり、ついでに岩魚も釣れるということから今回の魚野川山行が決まった。

山行前日、天気が微妙な感じであったが、とりあえず行ってみようということで、それぞれ車に乗って志賀高原へ。15日(日)は、滋賀グランドホテル横の公衆トイレの駐車場で車中泊をした。

16日(月)。予報通り天気は微妙だったが、行けないほどではないなということで出発。切明温泉まで向かう。そこから魚野川へのアプローチ。全体を通して歩きやすい道で渋沢ダムまで行く。途中、狭いトンネルを通ったが、暗かったりコウモリがいたりとなかなかにスリリングなところで退屈せず歩くことができた。渋沢ダムに到着後、沢登りの準備をする。靴を履き替え、ハーネスを着けて準備完了。入渓地点を探す。当初は、朽ちた小屋を目印に懸垂下降か、吊橋手前から降りる予定であったが、避難小屋にいた人のアドバイスで吊橋通過後、ちょっとヤブを漕いで降りることに。その人曰く、吊橋から降りてしまうと、胸までの渡渉になってしまうとのこと。入渓後、千沢出合まで遡行。途中何回か渡渉があったが、見た目の割に川の流れが強く、結構緊張していた。途中、一箇所、かなり深い渡渉があり、そこでは顎まで浸かる渡渉となってしまった。沢靴を履いているためか、太腿までの渡渉なら問題なく歩けたが、股以上の渡渉となると冷たさを強く感じる。ここまでは「冷たい、冷たい」言いながらも内心まだまだ余裕であった。千沢出合到着後、桂カマチのコルジュの方に向かう。ここでは水流が太腿以上で撤退した方がよいということだったが、膝以下だったため進むことにした。桂カマチからのコルジュ帯は、泳ぎ覚悟で川沿いを進んでも、高巻きをしてもよいということだったが、自分たちは泳ぎ覚悟で川沿いを進むことに。水量が少なかったため、泳ぐ場面はなかったが、古矢がへつりの際、足を滑らせ、水の中にドボン。結局、全身濡れる羽目になってしまった。後から振り返ってみると、高沢出合までのこのコルジュ帯が今回の山行の一番の難所であったと思う。極端に難しい場所が一箇所あったということではなく、全体を通じて通過しにくい場所であった。高沢出合からは大ゼン(この滝は問題なく突破)を通過し、黒沢出合まで行く。ナマリ岩のところまで行き、そこで幕営。今回は沢登りということで、テントではなくタープ泊に挑戦してみた。幕営地では近くに薪も置いてあり、たき火をしつつ割と快適に過ごすことができた。

ところどころ滝を通過する

17日(火)。起床後、朝食を食べて、ちょっと岩魚釣りをして、出発。次の幕営予定地の南ノ沢出合を目指す。この日は、数多くの滝を通過し、沢登り感を強く感じることができた。まず出てきたのはカギトリセン。(注意:ブログ等を見ていると、この滝を魚止ゼンとして載せており、次のイワスゲセンをカギトリセンとして紹介してあるものが多く、ブログとガイドブックでズレが生じていた。事前情報は念入りに調べつつも、その情報にとらわれず、現地判断することも重要に思う。)カギトリセンは、左のスラブ状の壁から直登していった。ここはロープを出した。滑りやすく荷物も持っていたので、通過にとても苦労した。次のイワスゴセンは左岸から巻いた。踏み跡は存在したが、滑落し得る場所であり、ここの高巻きも非常に緊張するところであった。その後、スリバチセン、ヘリトリセンを通過したが、この2つの滝の通過に関しては特に問題はなかった。この時点から明確に疲れを感じるようになり、足もうまく動かないことが実感できた。(やはり沢登りは、冷えによる体力低下をどう防ぐか、が重要になってくるように思われる。)疲れて時間がかかりながらも、燕ゼンを左岸から巻き、庄九郎大滝へと向かっていった。庄九郎大滝は滑落に注意しつつ左岸から巻いて行った。

庄九郎大滝 の高巻き

その後、ゴウトウという巨岩帯を通過していったが、岩を通過する際、所々にクライミング要素があり、なかなか進みにくいところであった。ヘトヘトになりながらもビバーク適地に到着。とても疲れたが、技術的に難しいところを終えたので一安心。この幕営地では、古矢が火をおこしに挑戦したが、うまく火を起こすことができず、たき火なしで過ごすことになってしまった。その後、雨も降り、この日は非常に寒い中、一夜を過ごすことになった。それでもこの日は梶さんが釣ってくれた岩魚に舌鼓を打ったり等、非常に思い出深い一夜であった。

岩魚

18日(水)。起床後、朝食を食べて、南ノ沢出合まで向かう。ここからは水量も減っていたし、技術的に難しいところはなかった。南ノ沢出合から北ノ沢経由して、笹藪の中を漕いでいった。この藪漕ぎが地獄で、稜線まで出るのに本来30分から1時間を予定していたが、3時間ほど掛ってしまった。藪漕ぎは一歩進むのも大変で、しかも展望が全然なく、進んでいるのか進んでいないのかも分からず、体力的にも精神的にもつらいものであった。稜線まで出たら、後は一般登山道。そのまま降りて、車を回収しに切明温泉まで行き、ついでにそこで温泉に入り、今回の山行は終了。

藪漕ぎ

今回は天気も微妙であり、行けるかどうかきわどいところであったが、何とか完全遡行を達成することができ、この夏を締めくくる非常に充実した山行になった。

P.S 同行して頂いた梶さんには色々な場面でお世話になりました。本当にありがとうございました!

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