信州大学医学部山岳部のブログ

黄蓮谷右俣 24時間チャレンジ!

time 2019/12/17

黄蓮谷右俣 24時間チャレンジ!

☆エリア:甲斐駒ヶ岳・黄蓮谷右俣

☆アイスクライミング・アルパインアイス

☆日程:2019年12月14日(土)

☆メンバー:ちむら(文責)、そーだ、ホタカ

☆コースタイム
(13日)2240尾白川市営駐車場→(14日)0125笹の平分岐点0135→0225刀利天狗0235→0330五合目小屋跡0415→0430六丈沢下降点0435→0600坊主の滝基部→0720坊主の滝トップアウト→0745二俣→1545黄蓮谷右俣トップアウト(稜線上へ)→1700七丈小屋1710→2150尾白川市営駐車場
行動時間:23時間10分

☆装備:スクリュー5本、ダブルロープ1本、シャント1つ

☆ ☆ ☆

ちむらです。
冬だ!山だ!アイスだー!!ということで、テンションMAXで右俣ワンデイ行ってきました。今回のルートは駐車場(標高約750m)~6丈沢下降点(約2250m)~坊主の滝下(約1800m)~甲斐駒(2967m)~駐車場という、登高距離約2700mのロングルート。長かったです。。

今回のメンバー紹介
☆きいろいバケモン: 実習先病院の忘年会でTT兄弟をやって、そのまま登山口へ。この日のバケモンは何か足元に違和感が。あれ、黒いプラスチック(ベガ)は?
☆みどりの変態: 最近徐々にネジが外れ、遂に歯車が落ちたらしい。途中で正気に戻って帰りたいとか言い始めたけど、ちょっと遅かったね。ウフフ。
☆あかい天使: ぼく。黄蓮左俣に去年連れて行ってもらったので、今回は右俣を計画。

22:50 出発!このニコニコ笑顔はすぐに消えました。

12月13日金曜夜、駒ケ根、佐久、松本それぞれ別々の場所から3人が集まりました。テンションMAXのちむらとそーだ、そして「ぼく、くるとこ、まちがえちゃった。かえる!」て顔したホタカ。逃がしません。

まずは黒戸尾根の登り。ここの負荷軽減のためにワンデイにして軽量化を図ったのに結局辛かったです。計画がつぶれまくったせいで8月ぶりにちゃんと歩いたけど、鈍りに鈍っていました。黒戸山越えるまで雪はなし。

登り始めてすぐにホタカが服の調整をしたいと言い出した。見ると大汗をかいている。
どうぞどうぞと言うと一気にタイツに。変態ですね。お尻は掲載できそうになかったのでトリミングしました。

5合目小屋跡で、身支度を整えながらしばし休憩、仮眠。5丈沢下降するか6丈沢下降するかは最後まで迷いましたが、ちむらが去年使ったのが6丈沢だったので今回も6丈沢を使うことにしました。下降点は5合小屋跡のコルから一般道を約15分登ったところにある、「開力霊神」と書いた石碑の横。そこからは分かりにくいトレースを頑張って追いかけました。基本的にずっと右岸。坊主の滝下に下りたかったのでトラバースはせず、そのまま右岸をいきました。結果、ぴったんこ滝下に出ました。

6:00 坊主の滝

坊主の滝は、前週の記録と比べて少し発達したような、していないような。。時間が早かったこともあってか、シャワーを浴びることはなかったです。1P目そうだリード、2P目ちむらリードで、リードしないピッチはシャントを使って登りました。1P目終了点はスクリューで、2P目は立ち木で構築。

坊主の滝1P目、そうだリード中

また、この日はソロの方1名が左俣へ、坊主の滝上に抜けていた2人組が右俣へ入っただけと思われます。

坊主の滝2P目 ほたかフォロー中
氷はまだまだ未発達。

坊主の滝を抜けてからはしばらく歩き。両俣から、今年は右に進む。氷の量が少ない気はするものの、雪をかぶることなく露出していて、とってもきれい。

幅は狭いものの氷の回廊が続く。
つまり、落ちたらオワリ。

ホタカはまだアイス経験が少ないので、今回は2人がかりで確保。奥千丈の滝や、その後の氷瀑が続くパートは基本コンテで進みました。最初は楽しかったナメ滝も、奥千丈の滝を越えた頃にはお腹いっぱい。でも右俣は長いんです。坊主の滝~山頂までの標高差は約1200m。ここから体力不足、睡眠不足、シャリバテ、脱水により、地獄が始まりました。これより、写真の順番は合っているか不明です。

あれ、ちむら―そうだでコンテ。ホタカは?
大丈夫です。ほぼ平地です。
傾斜の緩い場所はフリーで進む。
「そうだ、水没地点」
右俣に入ってすぐ、そうだが50cmほど沈んだ。よく見ると膝から下が見当たらない。
あ、オワッタ、と思って見ていると、水の中からオレンジの靴を履いた足が2本上がってきた。
そうだった、彼、今日からベガじゃなくてファントムなんだった。この後の彼の喜び様は。。。
途中からはそうだ―ホタカでコンテしてもらい、ちむらがフリーに。
薄いバーチカル部に突っ込んでみる元気があった頃。
そうだ―ホタカ、スタカットとコンテを使い分けながら登る。
コンテの際も要所要所でスクリューを打っていく。
上部は少し雪があった。ようやく地にかかとを置けて、うれしいことこの上なし。
25mの滝。

無限に続く氷の写真でお腹いっぱいになった頃かと思いますが、この頃僕らもお腹いっぱいを通り越して幻聴、幻覚と戦いながら登っていました。ホタカにはライブの歓声まで聞こえたそうです。

そして迎えた奥の滝。
下部はバーチカル部が少し。ここがⅣ-くらいで技術核心だったと思う。

写真には残っていませんが、奥の滝を登るホタカの顔は、ただただ保育園児の拗ね顔でした。今にも泣きだしそうだったので、いじることもできず、しっかりと労いました。

ここからはただの緩傾斜の登りでしたが、全く足が動かない。そうだ、ほたか、ちむらの順で何とか稜線に抜けました。でも抜けれてよかった。。

この日は風予報が100km/hを上回っており、天気も崩れる予定だったので(+もちろん体力的にきつかったので)、山頂には行かずに下降開始。実際の天気も予報通りで、稜線上はガスガスの暴風、樹林帯に入ってからも吹き荒れる風の音でお互いの声も聞こえないほどでした。7丈小屋まで来たら樹林帯なので一安心。ここからは休憩のたびにみんな寝落ちしました。眠かった。。

ちなみにこの日は翌日の右俣に備えて信大山岳会が5合目に入っていたようですが、僕らが通った頃にはどのテントも灯りが消えていたので通過しました。

下山後は、すぐにコンビニに向かい、3人とも大量経口輸液。ポカリを注ぎ込む者、飲むヨーグルトを注ぎ込む者、パスタを注ぎ込む者。医学的にはどれが良かったのでしょうか。エネルギー・水分補給が終わったら次はすぐに寝不足補正。全く寝やすくない車の中で、翌朝8時半まで全員爆睡しました。翌日は元気があったら八ヶ岳の広河原行こう!とか言っていたものの、アイゼンもアックスも先がかなり丸くなっていたので、ご飯食べて帰宅。何とか無事全行程を終えました。

なかなかハードなシーズンインとなった2019‐2020シーズン。来年は3人とも国家試験なので、今シーズン中に登りまくれたら良いなと思ってます。

おわり。

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