2020/03/28
☆エリア:甲斐駒ヶ岳 篠沢七丈瀑、黄蓮谷左俣
☆ アイスクライミング・アルパインアイス
☆日程:2020年1月18日(土)~19日(日)
☆メンバー:ちむら(C.L. 文責)、そうだ、ほたか
☆天候:1日目は終日雪、2日目は快晴
☆コースタイム:
1日目:0640尾白川駐車場―0835笹の平分岐0850―1100刀利天狗―1145五合目小屋跡(テント設営)1225 ―1330篠沢七丈瀑1640―1735五合目小屋跡(T.S.)
2日目:0535五合目小屋跡―0635坊主の滝上部―0715チムニー滝基部―0825大滝取りつき ―1055大滝上部―1205最後の滝上部―1415八合目(黒戸尾根合流)1430―1450七丈小屋 ―1525五合目小屋跡1605―1720笹の平分岐点1730―1825尾白川駐車場
☆装備: 50mダブルロープx2、スクリュー9本(+22cm x1本)
☆ ☆ ☆
ちむらです。
最近の目標は、「実習の疲れに負けない」こと。
「意識して自分が楽しいと思えることをすることは大切。楽しいことをするのにも体力は必要で、油断していると”ただ何もしない時間”になってしまう。」
友達がうまくまとめてくれた言葉ですが、本当にこの通り、いつも心に留めています。
実習で疲れてくると、ふと気が抜けて”ただ何もしない休日”を作ってしまいそうになります。実はそれはそれでとっても幸せだったりするのだけど、何故か土曜朝から日曜夜まで山を駆け回って、疲労困憊で迎える月曜日の方が気分良かったり。心の疲れと体の疲れは別物なんですね。
てことで、手術続きの実習でボロボロの状態でしたが、力をふり絞って今シーズン2度目の黒戸尾根に行ってきました。メンバーはつい先月、12月に「もう黒戸尾根には二度と来ない」と誓った2人、そうだとほたか。記憶が年越ししなかったようです。
今回の狙いは篠沢七丈瀑と黄蓮谷左俣。またまた、「去年の自分なら考えもしないところに来てしまった。」という定型文を書かねばならない事態となりました。最近だけで何度この1文を書いたことやら。トホホ。
☆1日目: 篠沢七丈瀑 (Rグレード4級、PグレードⅤ+)
アプローチはアイス本参照。トラバース云々書いてあるが、沢床まで下りて登り返しても大した距離ではない。
登攀に関しては様々なラインが取れるが、今回は逆くの字を描くようにして2ピッチで登った。
2P目は高度感があり、しびれた。かなり幅も広い滝なのでライン取りは様々だが、上部の右側は水の滴るクラゲ氷だったので左側を登った。30分強かけてフリーで抜けることができた。
下降は懸垂で。1P目は灌木、2P目はアバラコフが無難だろう。時間があったのでほたかに懸垂支点を作ってもらった。
注意点は2つ。本にも書いてある通りビショビショになるということと、2P目上部(本来の3P目)がベルグラ~ドライで全くプロテクション取れないという点。下降してロープを畳もうとすると1本が完全にハリガネになっていた。レインも、手袋も、スリングもよく見るとガチガチに凍っていた。翌日に響くので注意。
夕食後、左俣について大検討会をした。懸念材料としては、雪が予報に反して止まないこと、黄蓮谷に向かうトレースがなく他パーティーの入山はなさそうであること、ギアが凍り付いていること、翌日は外病院実習であることなどなど。更に左右田は足の調子が悪く、ホタカは心の調子が悪く、戦力外宣言。でもこの黒戸尾根を左俣のために登ってきた、その努力を無駄にしたくないという気持ちは僕だけではなく、全員一緒。結局は大残業覚悟で突っ込むことにした。
☆2日目: 黄蓮谷左俣 (Rグレード4級上、PグレードV)
翌朝、雪は止み星が見えていたので決行することにした。六丈沢下降点にはやはりトレースなし。下降はしばらく沢の右岸を進んだが、沢床が雪で完全に埋まっているのが見えたので途中から沢を駆け下りた。うまく坊主の滝上に出ることができた。黄蓮谷は予想通りラッセル祭りとなった。
そして迎えた大滝。背後には八ヶ岳が美しく輝いているが、黄蓮谷に日は差し込まない。あわよくばフリーで、と思って登り始めたが、半分弱進んだところであまりの指の冷たさに負け、レスト(フィフィ)してしまった。まだまだだなぁと思いながら、結局2度のレストを挟んで登り切った。右岸寄りのラインで2ピッチに分けて登った。
ハリガネロープに苦労したことは言うまでもない。
最後の滝は、去年アイス初リードをした思い出の場所だが、記憶と違い難しかった。
無事登攀を終え、残るは黒戸尾根までのラッセルのみ。まかせろ!
少しでも雪が浅そうな場所を選んでいるうちに少し遠回りしてしまったが、止まることなく進み続けて、無事8合目に飛び出した。踏み抜きあり、モナカあり、腰ラッセルありという盛りだくさんな内容だったが、しっかり腹ごしらえしたお陰でラッセル先頭2時間耐久できた。
前回の右俣の時よりも早いうえに日も長くなっていたので、笹の平くらいまで明るいうちに歩けた。
恒例のヘッデン下山となったが、甲斐駒(黒戸尾根周辺エリア)アイス3冠達成できたので、気持ちはとても爽やかで、軽やかだった。そう、この爽やかな疲れこそが僕の活力になっているのだろう。そんなことを考えながら、翌朝にはまた戻ってくる諏訪を通過し、帰りの車を走らせた。
おわり。