信州大学医学部山岳部のブログ

錫杖岳北東壁 左ルンゼ

time 2020/03/09

錫杖岳北東壁 左ルンゼ

今シーズン2度目の冬錫杖へ行ってきました。

☆エリア:北アルプス 錫杖岳

☆アイスクライミング・アルパインアイス

☆日程:2020年2月24日(月・祝)

☆メンバー:ちむら(文責)、そうだ

☆天候:快晴、気温高め

☆コースタイム:0630槍見館ー0740クリヤ岩舎ー08003ルンゼ取りつき0815
ー0850北東壁取りつきー1245グラスホッパー核心基部ー1330左ルンゼ取りつき
ー 1420左ルンゼトップアウトー1600クリヤ岩舎1615ー1700槍見館

☆使用ギア:50mダブル1本(懸垂時2本使用)、ハーケン1本(1P目にて使用)、
スクリュー7本程度

☆  ☆  ☆

ちむらです。
少し前の3連休、天気がぱっとしない予報だったので、本院岳ダイレクト尾根から転戦し、「4か月ぶりのボルダリング&南沢大滝アイス登り込み&冬錫杖」という充実プランにしました。
結果、錫杖に向かう頃にはドアノブも回せないくらいの筋肉痛になっていました。ドアノブ回せないのにどうやってアックス振り回すんだって話です。それでは報告へ。

今回はいつもよりゆっくりスタート。前衛壁が見えるころにはこの明るさ。

今回は3ルンゼ、グラスホッパー、左ルンゼのどこかを登ろうということでルートを決めずに錫杖に向かった。まず3ルンゼ取り付きに到着したが、先行パーティーが苦戦しているので、待てない僕らは早いうちに転戦を決め、北東壁取り付きへ。

3ルンゼ取り付き。
先行パーティーがドライなコンディションとスノーシャワーに悩まされていた。
気持ちを切り替え、北東壁取り付きへ。
ラッセルラッセル!モガモガ!

取り付きからは、最初のチムニーこそ少しテクニカルだったものの、快適な雪壁登攀が2ピッチ続いた。

1P目:出だしのチムニーを越えれば後は快適。左岸の灌木まで。

早速楽しい。
チムニー出口はベルグラに優しく打ち込みながら。

2P目:終始快適。右岸側壁に発達した氷で終了。

気持ちの良い雪壁を進む。
北東壁上部を一望。正面がグラスホッパーで少し右のV字溝が左ルンゼ。

3P目:右岸側壁を10m弱登り、そのままグラスホッパー基部までラッセル。

とここで、左右田が5mほど上がったとき、突然左ルンゼの方から爆音と雪煙が上がった。雪崩だ!と思ったのも束の間、一瞬にして飲み込まれた。とっさにザックの陰に隠れたこと、雪崩の中に氷などの硬いものが混ざっていなかったことが幸いして何事もなかった。

ビデオより切り出した写真。
この直後、左ルンゼの方から爆音が。
爆音と同時に雪煙が上がった。
このあとはものすごい速さで飲み込まれた。
とっさにザックの陰に入ったのは飲み込まれた直後。
しばらく真っ白な世界が続き、数十秒後にようやく視界が戻った。

自分たちは自然の中で遊んでいるのだということを再認識した。

グラスホッパーは、取り付きから見上げるとなかなか立っていた。筋肉痛&そもそもの体調不良(コロナ?)で取りつく気になれず、更には落氷が全て後続パーティーの登攀ラインに流れ込んでしまうので今回はやめておくことにした。そのまま帰るのももったいないので、先ほど雪崩れた(が、もう雪崩れなそうだと判断した)左ルンゼへ向かった。

斜め懸垂で左ルンゼ側に戻る。左右田の後ろはP4
横から見たグラスホッパー核心部。

1P目:左右田リード、初めの小滝5mが立っているが、その後は快適。25m。

2P目:千村リード、氷のコーナー~狭いルンゼを抜けると上部の雪田に到着。適当な灌木までラッセルして終了。両ピッチともにⅣ級前後。

コーナー部分を登る。
そして無事トップアウト。

帰りはアバラコフも交えて同ルート懸垂。後続パーティーは結局雪崩に飲まれて撤退したようだったが、懸垂支点のバックアップに使ったと思われる捨て縄が、指くらいの太さの折れかかった木にかけられていた。もちろん手で少し引っ張っただけで回収できた。焦りすぎたのかな??

今回は明るいうちに帰れて幸せだった。グラスホッパーは次の宿題にします。

行きも帰りも明るいって、いいね。

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