信州大学医学部山岳部のブログ

鹿島槍東尾根

time 2020/03/28

鹿島槍東尾根

正月のリベンジで鹿島槍東尾根に行ってきました。2泊3日の行程で無事山頂を踏むことができました。

★エリア:北アルプス,鹿島槍ヶ岳東尾根

★日程:2020年3月24日~3月26日

★メンバー:千村、泉、梶原、山田、綾城、古矢(文責)

★コースタイム
3月24日
0700大谷原駐車場→0750東尾根取り付き0800→1130一ノ沢の頭 →1330二ノ沢の頭 →1700第一岩峰直下手前テント場
3月25日
0630第一岩峰直下手前テント場→0640第一岩峰取り付き→0900第二岩峰直下(強風のためしばらくビバーグ)1000→1325鹿島槍ヶ岳1335→1435 第二岩峰上→1540第二岩峰下ドロップイン→1600第一岩峰直下手前テント場
3月26日
(徒歩組:泉、梶原、山田、古矢)
0635第一岩峰直下手前テント場→0720二ノ沢の頭→0820一ノ沢の頭→1020東尾根取り付き→1100大谷原駐車場
(スキー組:千村、綾城)
0650第一岩峰直下手前テント場→1010北股本谷→1115大谷原駐車場

★ ★ ★

24日、天気は雪。事前の天気予報では、24日は終始雪。25日、26日の天気は最高ということで、天気的には今日が踏ん張りどころ。

24日、雪の中のラッセル

東尾根の取り付きまでは林道歩きであったが、すでにトレースあった。赤岩尾根かな、それとも東尾根かな。東尾根だったらラッセルなしですむかな。等といろいろ考えているとソロで入山する人と出会う。入山する人に出会う。東尾根に行くらしい。その人を追い越し、赤布より少し手前のところから取り付く。地面に雪がちょこっと乗った状態であり、取り付き付近の急登はやや登りずらい。

東尾根上は終始ラッセルであったが、正月に比べると雪も少なく、また下にきちんとしたかたい層があり歩きやすかった。ワカンをつけることなく、快適に歩くことができた。結局、正月の時の2倍くらいのスピードで一ノ沢の頭に着く。

さて一ノ沢の頭からアイゼンを履き、二ノ沢の頭に向かう。翌日の天気が最高ということで、今日は二ノ沢停滞で、明日ここから山頂アタックも考えたのだが、結局第一岩峰直下まで向かうことにした。終わってみると、上の部分の雪の状態が悪く、終始ラッセルで時間がかかったため、今日第一岩峰直下までテントを上げるのは正解であった。テントは第一岩峰直下ではなくそれよりちょっと手前に張る。この日、泉さんが体調を崩してしまったため、翌日のアタックには参加せず、テントに残ることに。

25日、快晴の中の出発

翌日25日は快晴。事前予報では風も弱くなるということであったが、朝の内は強風。ヤマテンで再度天気を確認すると、朝の内は強風、昼から次第に落ち着くということ。

第一岩峰の雪壁登り

第一岩峰は、一面雪で覆われており、雪壁登りであった。ロープをつけて2ピッチで登る。1ピッチ目、2ピッチ目ともに立ち木を利用したが、2ピッチ目の立ち木は小さく支点としてはやや不安。それでも雪の状態は良かったので、特に問題なく登ることができた。

第一岩峰から第二岩峰

第一岩峰から第二岩峰までは強風の中のラッセル。風が強すぎて、視界がなく、立ち止まることもしばしば。ラッセルも腰から胸、場合によっては頭まで雪があるところもありなかなかしんどい。

風よけの雪洞

第二岩峰直下では、風が強すぎるため、しばらく停滞。小さな雪洞を掘り、風をよける。

第二岩峰の登攀

一時間ほど休憩すると、ヤマテンの予報通り、風が次第に収まったため、登攀開始。第二岩峰は、短いながらもナイフリッジの通過、トラバース、チョックストーンあたりのやや被り気味の登攀など、様々な要素が散りばめられていた。Ⅳ-ということだが、みんなやや辛めという意見で一致。チョックストーン当たりの通過にはカム、ナッツがあった方がよい。結局、1ピッチで抜けることができた。終了点にはリングボルト。

山頂へ

第二岩峰から先もラッセル。ところどころ風で飛ばされ、雪が少ないところがあるが、吹き溜まりでは下と同じような深雪であった。鹿島槍山頂直前のナイフリッジの通過は、雪の状態によってはロープを出すべき。北壁側に落ちるとひとたまりもない。

鹿島槍山頂(北峰)から剱岳

山頂は快晴。剱までよく見える。正月の雪辱をここで晴らすことができた。

登頂。やったね!

下山では、第二岩峰は懸垂下降、第一岩峰は西側の沢に降りていき、巻いた。当初の予定では、この日のうちに下山する予定であったが、アタックに案外時間がかかったため、翌日下山することに。テントまで戻ってみたら、朝の強風のせいか、V6のポールが折れていた。

第二岩峰上からテン場まで

26日、無風快晴。この日は千村さん、穂高さんはスキーで下山、他メンバーは歩きで下山した。歩き下山組は、快晴の中、360度の絶景を味わいつつ、降りていった。(スキー下山組については別記事で!)

さて今回の登山、とにかくラッセル、ラッセル、ラッセルの連続であった。でも体力があれば登れる山というわけでなく、道や天候に対する判断、何よりも共に頑張っていける仲間が必要な山であるだろう。今回、みんなで力を合わせて、冬の本格バリエーション登山に成功したことは、とても大きな経験となった。来年以降もこのような登山を行える機会を作れたらと思う。

コメント

  • 初めてコメ致します。
    3月25日、鹿島槍北峰に立つ貴方達を、麓、大町市の郊外から超望遠レンズで偶然撮影しました。
    もう、私は歳ですから登れませんが、積雪・残雪期の、主に東尾根を登攀する人を撮るのが楽しくて、この時期撮影に出かけます。
    当日の様子をブログに、先月UPしてあります。
    シーイングがあまり良くなく、写っているのはお二人だと思ったのですが、三人だったのですね。
    お時間のある時にでもご覧いただければ幸甚です。
    もっとも、15kmも離れているところから撮っているので、本当に小さくにしか映っていませんが。

    「山の写真(275):快晴の鹿島槍に二人の姿が!」
    https://ameblo.jp/niko-niko-shinsyu/entry-12585298409.html?frm=theme

    by 八角 宣一(やすみ のぶかず) €2020年4月20日 4:30 PM

    • コメントありがとうございます。当日東尾根を登攀したメンバーです。
      気付くのが大変遅くなり申し訳ございません。鹿島槍の後、コロナの影響で活動が停止となってしまったためブログも放置しておりました。

      自分たちが登っている様子を別の場所から撮影していただく機会はほとんどないので、このようなアングルはとても新鮮です。
      撮影していただけて大変嬉しく存じます。ありがとうございました。

      by 信州大学医学部山岳部 €2020年7月20日 11:10 AM

  • ご覧いただきありがとうございます。
    今までに3,4回、今回と同じように連絡させて頂き、ご返事を頂戴したことがあります。
    皆さん一様に、麓から自分たちが登っている姿がこんなによく写るのかと驚かれました。

    信大さんの時はシーイングがあまり良くなく、ハッキリ写っていないのを申し訳ないと思っております。

    ところで例年4月下旬から5月のGWにかけて、東尾根は大勢の登攀者が列をなしているのですが、今春はコロナの影響下、連日一人の姿も見ることはありませんでした。
    さすがに岳人はキチンと自粛する、と感心致しました。

    では、今後も貴山岳部の活躍を期待致します!

    by 八角+宣一(やすみ のぶかず) €2020年7月22日 8:26 AM

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